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甲状腺機能低下症

2008 - 11/01 [Sat] - 20:40

 甲状腺ホルモンの分泌低下、もしくは甲状腺ホルモンに対する感受性の低下により末梢組織で甲状腺ホルモン作用が不足して種々の症状をきたす病態である。甲状腺機能低下症のために硬い浮腫を認めるものを「粘液水腫」、先天性の甲状腺機能低下症で身体ならびに精神が遅延した病態を「クレチン病」と呼ぶ。
疫学 人口の0.01%、全甲状腺疾患の約10%程度とされる。

成因と病態生理 甲状腺機能低下症には、甲状腺自体に以上がある原発性、下垂体もしくは視床下部に病変のある中枢性、そして抹消組織での甲状腺ホルモンレセプター以上によるホルモン不応性の3種類がある。このうち、甲状腺に対する自己免疫が原因となって甲状腺組織が破壊される慢性甲状腺炎(発見者にちなんで橋本病という、後述)の頻度がもっとも高い。

症状 甲状腺ホルモンは全身の組織に作用するので、多彩な症状が出現する。またそのために、ほかの疾患と間違えやすく、たとえば活動低下から、うつ病や痴呆と間違われたりする。

①全身症状:寒さに弱い、発汗減少、嗄声、全身倦怠感、体重増加、低体温、月経異常など。
②消火器異常:食欲減退、便秘
③循環器障害:徐脈、息切れ
④皮膚:硬い浮腫(粘液水腫)、皮膚の乾燥、頭髪の脱毛、眉毛が外3/1脱毛
⑤神経筋:こむらがえり、アキレス腱反射の弛弾相遅延
⑥精神症状:活動力低下、記憶障害、言語緩慢

診断 活動力低下など多彩な症状から甲状腺機能低下症が疑われる。甲状腺ホルモン検査を行うと甲状腺ホルモンが低下し、TSHが高値になる。そのほかに甲状腺ホルモンによる代謝作用が低下することに伴い、血清相コントロール、トリグリセリド、AST(GOT)、CK(CPK)、LDHなどが高値になり、貧血も認められる。

治療 甲状腺ホルモン薬を投与。

経過・予後 甲状腺ホルモンを生涯服用すれば、日常生活に支障はない。

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甲状腺機能亢進症

2008 - 08/11 [Mon] - 20:35

 甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝促進、自律神経刺激などによる種々の臓器に影響のある病態である。

疫学 頻度は割りと高く、住民検診では1,000人に1~6人程度発見され、40歳以上の成人を対象とした疫学調査では、0,6%が罹患していたとの報告がある。

成因と病態生理 甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能亢進症きたす病態にはいくつかの疾患がある。前記事参照。 このうち80%以上はバセドウ病が原因である。バセドウ病は、TSH受容体に対する抗TSH受容体抗体によって甲状腺が過剰に刺激されて発生する自己免疫疾患であると考えられている。

症状 甲状腺ホルモンによる物質代謝の更新、交感神経系の更新のため、頻脈、手指振戦、発汗過多、体重減少、精神不安定など全身的な代謝更新症状が主体となる。
 バセドウ病では、眼球突出甲状腺線種もみられる。

診断 多汗、頻脈、体重減少などの臨床症状から甲状腺機能亢進症が疑われる。甲状腺ホルモン検査を行い、甲状腺ホルモン濃度が増加し、甲状腺刺激ホルモンが低下していることから診断できる。甲状腺エコー検査、シンチグラム検査で甲状腺腫を検出する。バセドウ病は自己免疫疾患なので、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗TSH受容体抗体が高率に陽性になる。そのほか血液生化学検査で、アルカリホスファターゼの上昇、総コレステロール低値などが認められる。

治療 薬物療法(抗甲状腺薬)、放射線ホード治療、外科的療法が行われる。

経過・予後 バセドウ病は抗甲状腺薬で平均2年くらいで寛解になるが、投薬を中指すると、2年以内に40~60%くらいが再発する、プランマー病(中毒性結節性甲状腺腫)などの線種に対しては、外科手術をする。



TSH=甲状腺刺激ホルモン 下垂体前葉⇒甲状腺に分泌。

甲状腺疾患

2008 - 07/11 [Fri] - 18:36

 甲状腺は下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンの刺激を受けて甲状腺ホルモンを産生分泌する。甲状腺ホルモンは、酸素消費やカロリー消費などの生態酸化反応、糖・たんぱく質・脂質代謝、循環系、造血系など重要な生体機能のほとんどに関与している。このため、甲状腺ホルモンの過不足は種々の病態を起こす。


甲状腺機能亢進症を起こす主な疾患

バセドウ病(グレーブス病)
中毒性結節性甲状腺腫(プランマー病)
中毒性多結節性甲状腺腫(線種様甲状腺腫)
破壊性甲状腺炎(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、急性化膿性甲状腺炎)
その他〔TSH産生腫瘍、hCG産生腫瘍(胞状奇胎、悪性繊毛上皮腫)、甲状腺ホルモン過剰摂取

尿崩症

2008 - 07/10 [Thu] - 23:48

 抗利尿ホルモン(ADH、バソプレッシン)は下垂体後葉から分泌され、腎臓の遠位尿細管と集合間に作用して水の再吸収を促進する作用がある。下垂体後葉機能の低下により、ADHの分泌が低下すると、多飲、多尿といった症状が出現する。このような病態の疾患を尿崩症という。

疫学 過去5年間に610例の尿崩症が報告されている。

成因と病態生理 原因が明らかでない突発性尿崩症が39%、脳腫瘍・外傷・脳外科手術・脳出血などに起因する続発性尿崩症が約60%、そして家族性尿崩症が約1%である。

症状 多飲と多尿がおもな症状である。1日の尿量が5リットル以上と多くなり、ときとして10リットルを超す。その結果として、口渇、口内灼熱感、乾燥感、睡眠障害などを訴える。

診断 尿量が1日に5リットル以上で、夜間にんも排尿で起こされるといった症状から尿崩症が疑われる。尿は低張尿で、血液生化学検査で高Na血症、高浸透圧血症がみられる。負荷試験として高張食塩水試験、水制限試験を行っても尿量の減少や尿浸透圧の上昇がみられないことが特徴で、心因性の多飲症と区別する。

治療 デスモプレシン(DDAVP)の点鼻薬投与が有効である。基礎疾患のある場合には、その治療も必要である。

経過・予後 尿崩症自体による生命予後は良好である。著しい多尿が長期間続くと、尿路が拡大したり水腎症が起きる。

成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性低身長症)

2008 - 07/10 [Thu] - 17:53

 下垂体から分泌される成長ホルモン(GH)の分泌低下によって成長が抑制され、低身長になる病態である。

疫学 人口3万人に対して約1人の割合で、男女比は3:1である。

成因と病態生理 GHの分泌が低下するため骨の長軸胞肓への成長が障害される。器質的障害がはっきりしない成長ホルモン分泌不全性低身長症(突発性低身長症)が約80%で、頭蓋咽頭腫による成長ホルモン分泌不全性低身長症(器質性低身長症)が約20%である。

症状 同年齢の平均身長- 2CD(標準偏差)以下を低身長と定義する。身体の釣り合いはとれている。

診断 低身長で、血中GH濃度の低下がある。2種類以上のGH分泌負荷試験を行っても血中GH濃度の増加が不良である。突発性(成長ホルモン分泌不全性)低身長症では、下垂体CT、MRI検査で下垂体茎の切断や空虚トルコ鞍のみられることがある。頭蓋咽頭腫による器質性(成長ホルモン)分泌不全性低身長症ではトルコ鞍上に腫瘍を認める。

治療 GHを投与する。

経過・予後 早期に診断し、早期にGHを補充した方が最終身長の伸びが期待できる。

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